ミカン初の60万トン割れ

6月25日(水)の日本農業新聞の論説記事
のタイトルです。2024年産(令和6年産)
のミカンの生産量が初めて60万tを
下回ったという記事です。実績として
前年からは18%減の55万9千600tで、
当然ながら過去最低の生産量です。
園主は昨年(2024年産)が初めての
生産・出荷でしたが、生産段階でも
結果した実果実が少なく、当然出荷量も
想定より大きく落ち込みました。

原因としては、カメムシの大発生や
猛暑による影響、秋ごろの豪雨による
裂果など様々な分析がされていますが、
多くのミカン産地、ミカン園で不作
だったことを考えると、気象的な要因に
思えてなりません。

記事ではミカンの不作の原因について
言及しているのではなく

「規格外を見直そう!」という点で
論評されたいます。
要約すると以下の通りです。
「ミカンは国内の果樹の中で、面積が
最も大きく、国が増産の旗振り行って
いるが、需要を満たせていない。
国は生産目標を達成すべく、新たな
担い手確保(新規就農者支援)などの
支援を行っている。
しかし、そうした支援も果樹農家が
暮らせる所得確保が大前提だという。
そこで「規格外果の価値の見直し」だ。
今月成立した「農産物の適正な価格形成
に向けた関連法」は全品目の買い手と
売り手に価格交渉へ誠実に臨む努力義務
を課すというものだ。「訳ありだから
値下げは当然」ではなく、「味は変わら
いのだから、農家を支えるために対価を
払う」という消費者を増やす必要が
ある。と記事は結ばれています。

「規格外果の価値の見直し」。そう
言われて反対する農家はいないでしょうね。
一時期、水より牛乳が安い!。水より
果実ジュースが安い。なんていう現象が
ありました。規格外果は一般的に
果汁などの加工原料用として流通させ
られます。記事では「味は変わらない
のだから、農家を支えるために対価を
払う」という消費者を増やす必要がある

と締めているのですが、園主はここに
強烈な違和感を感じます。
「規格外は市場に流通できないから、
原料で買い取る。いくらかお金になる
からいいでしょ。」
というスタンスで
流通させてきたのは誰なんでしょう?
見た目がキレイなものを選びたい
消費者心理は当然です。
だから消費者に価値をわかってもらう
必要があるのでしょうか?
園主はこの記事を「市場通報」として
発行を開始した「日本農業新聞」が
書いていることが残念です。

規格外を減らす生産管理を目指して
いますが、規格外「0」は不可能です。
ミカンの実にも個性がでますし。
生産者・経営者の一人として、規格外
(個性)の価値について、自分なりの
「考え方の軸を持たなければ。」と
改めて思いに至った記事でした。





大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) の生産規模で経営。 加えて、黄金柑(20a) 桃 (5a) 一寸ソラマメ (10a)を生産予定

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大地と甘夏

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