Categories: 園主の一日

小さな農家日記②

2026年6月5日(金)

この日の夕方。
小学校から帰ってくる息子と約束していたのは、
春から大切に育ててきたトウモロコシの収穫です。

今年3月上旬、試験的に定植した品種は「わくわくコーン」。
雌穂が大きく収量性が高いだけでなく、
支柱根がしっかりと張るため倒伏に強いのが特徴です。
その能力を証明するかのように、強風にも負けず、
力強く畑で育ってくれました。

私自身のうっかりで、
追肥のタイミングを逃してしまうという失敗もあり、
正直「成長が少し物足りないかな?」という部分もありました。
しかし、先週末に試し採りした一本を茹でてみると、
驚くほど甘く、ジューシー!
「これは期待できる!もう少しだけ熟すのを待って、息子と一緒に収穫しよう」
そう決めて、今日のこの時を心待ちにしていたのです。

夕方、収穫を楽しみにして帰ってくる息子を想い、
私は一足先に畑へと向かいます。

ところが――。

畑に足を踏み入れた瞬間、
目の前の光景に言葉を失います。
濃緑の包皮はきれいに剥がされ、
残っているのは無残な軸だけ。
食い散らかされたトウモロコシが転がっていました。

やられてしまいました。 皮を器用に剥ぎ、
まるで選別するように実だけをきれいに食べていくこの手口……。
犯人は、ハクビシンやアライグマの類でしょう。

改めて痛感します。
農家の仕事は、植物を育てるだけでなく、
野生動物との知恵比べでもあるのだと。

悲観していても始まりません。
それよりも気がかりなのは、
今から帰ってくる息子の反応です。
期待に胸を膨らませてやってくる彼に、
この現実をどう伝えようか、、、。

これもまた、農業という仕事、
そして命をいただく営みを知るための、
貴重な「学び」の機会になるかもしれません。

帰宅した息子は、変わり果てた畑の姿を見て、
案の定、驚きを隠せない様子でした。
私たちは、それでも僅かに難を逃れたトウモロコシを収穫し、
包皮を剥いてみました。残念ながら、その一部にも食害の跡が……。

「動物達も美味しかっただろうね。」
そんな言葉を交わしながら、
私たちは半分ほど削ぎ落とされた
トウモロコシを持ち帰りました。

夕飯でわずかに残ったトウモロコシを
「美味しい」と言いがら食べる息子でした。
「来年また再チャレンジしよう!」と
息子と約束を交わす園主でした。

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。

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大地と甘夏