防除の疲労を吹き飛ばす!ソラマメが眠りから覚める「掘り出し」と低温処理の秘密

2026年9月8日(火)

前回の投稿から少し日にちが空いてしまいました💦
絶賛みかん山の防除(農薬散布)に追われている園主です!

農家あるあるのひとつなのですが、防除の日はとにかく疲労が激しいんですよね。

全身をレインコートで覆い、マスクやゴーグルを完全装着した中での作業。
それに加えて、わずかながら薬剤による体への負担
(※特に殺虫剤は虫の神経系に作用するため、軽微と言えど人体にも少なからず影響があります)も
重なるからだと思います。

※ご安心ください! 薬剤の使用基準を徹底して順守し、安全で効率的な散布を心がけています。
私たちが育てるみかんは安全そのものです!

さて、この日も早朝から午前中いっぱいはみかんの防除を実施し、
午後からはガラリと頭を切り替えてソラマメの仕事へ向かいます。

眠りから覚めたソラマメたち!「掘り出し」作業へ

数日前の記事でご紹介した「ソラマメ種子の催芽(さいが)処理」、覚えていらっしゃるでしょうか?

👇 前回の記事はこちら

ソラマメ種子の催芽処理(2026/09/04)

今日はあの作業から4日目

土の中に播種(はしゅ)していたソラマメの種子を掘り起こす「掘り出し」作業を行っていきます。

👆いかがでしょうか?

しっかりと水分を吸い上げ、すっかり大きく膨らんでいますよね!
まさに命の「目覚め」を感じる瞬間です。

さっそく丁寧に掘り出していきます。

実は昨日(3日目)から少しずつ掘り出しを始めているのですが、今日が発根のピークのようです!

目指す理想の発根サイズは「5mm〜15mm」。

根が伸びすぎて(徒長して)しまうと、これからの作業でぽきっと折れてしまうことが増えてしまいます。

種子にもそれぞれ個性があって、すべてをピッタリ同じサイズに揃えるのは至難の業。
それでも、少しでも発根の兆候が見られれば「合格!」です。

  • 発根していない種子: もう一度土に埋め戻し、明日以降に再チェック。
  • カビが生えた・柔らかくなった種子: 病気の原因になるため丁寧に取り除きます。

今回はカビの発生がほとんどなく、なんと5,200粒の中で廃棄は10粒以内!

この高確率な生存率は、農家としても思わずガッツポーズの成果です😁😁

丁寧な洗顔と、次のステージ「低温管理」へ

掘り出した元気な種子たちは、水洗いで表面の土とぬめりを綺麗に落としていきます。

キレイになった種子は、根を折らないよう一粒一粒大切に「穴あきボードン袋」へ(1袋あたり約200粒)。

袋詰めされたソラマメたちは、これから「3℃の冷蔵庫で30日間」という、
ちょっと特別な冬ごもりに入ります。

💡 農業の科学:なぜ冷蔵庫に入れるの?「花芽分化」の秘密

この低温管理、実はただ種子を保存しているわけではありません。

ソラマメに「今は冬だよ」と勘違いさせる【花芽分化(かがぶんか)処理】という、
収穫量を左右する非常に重要なプロセスなのです。

🌱 花芽分化処理(低温遭遇)とは?

植物が「葉や茎を伸びやすくなる状態(栄養生長)」から、「花のもと(花芽)を作る状態(生殖生長)」へとスイッチを切り替える現象を利用した技術です。

ソラマメは一定期間の「寒さ」を体験することで、「あ、冬が来たな。次は春に向けて花を咲かせる準備をしなきゃ!」と認識します。人工的に3℃の低温環境に30日間置くことで、秋のうちにしっかりと花芽を形成させ、早い時期からたくさんの実をつけさせることができるのです。

自然のメカニズムをうまく利用した、先人の知恵と科学の結晶なんですよ!

次回予告:いよいよ畑へお引越し!

次回は、30日間の低温処理を見事に終えた「覚醒ソラマメ」たちの引き取りです。
その後は、いよいよポットへの播種作業へと移っていきます。

最高の状態でソラマメたちを迎えるためにも、これからは畑(圃場)の準備で大忙し!
みかん作りにソラマメ作り、農家の秋はまだまだ止まりません。

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。