“先に売って“稼ぐ

“先に売って“稼ぐ

2026年5月28日(木)

母校である東海大学から、「“先に売って“稼ぐ」と
題した研修会の案内を頂きました。
タイムテーブルを見ると、聞き馴染みのない言葉がずらり。

  • 連携推進プラットフォームのご案内
  • 食料システム法・計画認定制度の概要
  • 先払い型応援モデルの概要と目指すポイント、実践について

「これは進んで理解する必要があるのでは!?」という
使命感に駆られ、参加してきました。
正直、限られた時間ですべてを理解できたわけではありませんが、
私なりに重要だと感じた概要をまとめておきます。

1. 地域の「点と点」をつなぐプラットフォーム

正式名称は「地域食料システム構築・連携プラットフォーム」。
国が進める、地域の農林水産物を持続可能な形で
未来につなぐための巨大プロジェクトです。
主な目的は以下の3つ。

  • 地域経済の活性化(地産地消の推進や雇用創出)
  • 地域の食料産業の競争力強化(ブランド化や販路拡大)
  • 環境にやさしい食料システムの構築(みどりの食料システム戦略の推進)

要は、これまでバラバラだった地域の点と点をつなぎ、
食の未来を支える「インフラ整備」を目指しているようです。

2. 環境への配慮を「利益」に変える認定制度

2022年に施行された「みどりの食料システム法」に基づく
「計画認定制度」についても解説がありました。

どんな人が認定される?

  • 生産者: 減農薬・減肥料、温室効果ガス削減などに取り組む計画
  • 事業者: 環境負荷を減らす機械や資材の開発・普及を行う計画

認定を受けると、環境にやさしい機械の購入時に税負担が
軽減(みどり投資促進税制)されたり、融資の利子補給や期間延長
行政手続きの簡素化といったバックアップが受けられるようです。
「環境にいいこと=コストがかかる」という実情に対し、
制度の力で「環境配慮型ビジネスが特をする」仕組を作るという印象的です。

3. 「推し」の力で農業を支える:先払い型応援モデル

研修のハイライトは、講師陣による対談形式で行われたこのお題。
今回、「くまもとローカルフードプロジェクト」が
プラットフォーム構築において計画認定を受けており、
その実証実験として「先払い型応援モデル」を実践するとのこと。

昨今の「推し」の概念を農業に取り入れ、
農家のファンから「先払い」形式で応援(購入)してもらう。
これにより、農協や市場の原理に左右されない
「安定した収入と販路」を確保しようという試みです。

園主としての本音

国の示す方向性や新しい制度に異論はありません。
ただ、一人の経営者として、
生活者として感じたこともあります。

今、私たちが安定して農業(いわゆる慣行農業)を営めているのは、
先人たちが築き上げてきた「再現性の高い農業」という
基礎があるからです。
流通も同様です。農協の共販制度や市場流通があるからこそ、
日本全国のスーパーで、当たり前に一定水準の農産物が購入できる。
このシステムは日本の誇るべき基礎だと考えています。

農家である以上、自分の生産物に
「推し」や「ファン」がいてくれるのは最高に幸せなことです。
しかし、守るべき農地や経営の現実を考えると、
つくったものを安定的に流通させられる既存のシステムもまた、
不可欠な存在です。

例えば「農産物の規格」も、
一見フードロスの要因に見えますが、
「一定の基準を満たすものを作る」という
技術こそが農家の腕の見せ所でもあります。
規格外を加工に回すなどの工夫を含め、
これらが農家の経営を支えてきた側面もあります。

「新しいモデル」と「守るべき基盤」。
どちらか一方ではなく、現場の農家が安定して歩んでいける
バランスの取れた議論が、今後さらに深まっていくことを願っています。

💡 園主のひとりごと

難しい話も多かったですが、
地域の食をどう守るか、
真剣に考える良いきっかけになりました。
皆さんは「農家の推し活」、どう思われますか?

私は、「推される農家」がいる一方で、
決してスポットライトを浴びることはなくても、
多くの方々に「当たり前」に、
特に意識することなく購入していただける
——そんな空気のような農産物を作っている、
多くの生産者の存在も知っていただきたいものです。