【農家ハンターのひとりごと】(番外編)イノシシの生息域と秋の行動変化〜今夏40頭捕獲を見据えて思う事。〜

2026年9月12日(土)

津奈木町の山々も少しずつ秋の気配を感じる季節になってきました。

このブログで報告させていただいている「農家ハンター」の捕獲数メーター!
当初は令和8年度で25頭捕獲を目標にスタートしましたが、先月(8月)で既に達成!
今日現在では33頭となり、今月(9月)だけでも9頭を捕獲しています。

特に梅雨明けの7月からは怒涛の捕獲ラッシュとなり、
目標を大幅に上回る40頭越えの捕獲も見えてきました。

そこで今回、番外編として、ここ津奈木町でのイノシシの生態や生息域について、
先輩猟師に教えていただいたことも踏まえて記事にしたいと思います。

それではスタート!!

我が家のみかん園でも作業が続いていますが、この時期に農家を悩ませるのがイノシシです。
ここ津奈木町のように、山林が集落や八代海沿いまで迫っている中山間地は、
イノシシにとって隠れやすく、餌も豊富な「絶好の住処」になっています。

よく「イノシシは山の頂上付近に住んでいるのか?」と聞かれることがありますが、
実は主な拠点(寝床や潜み場所)は山の中腹から麓(やますそ)にかけての斜面や竹林、雑木林など、
人里に近い標高の低いエリアです。

日当たりが良く、身を隠せる藪があり、泥あび(ぬたうち)ができる水場がある場所を好みます。

■ なぜ7月〜9月に捕獲数が急増したのか?

私自身、くくり罠を使って捕獲を行っていますが、
この夏の怒涛の捕獲ラッシュには明確な理由があります。

  • 山の中の餌不足:夏場は山林内に栄養豊富な食料が少なく、水分や高カロリーな餌を求めて集落近くの中腹〜山裾に降りてくる。
  • 稲刈り前の田んぼという大好物:実った稲の穂はイノシシにとって絶好の栄養源。
  • 移動ルートの固定化:暑さを避けるため、沢沿いやぬた場、湿った中腹の竹林など、決まったルートを通る。

私自身も現在は標高がやや高い場所から中腹にかけて罠を仕掛けていますが、
まさに先輩方に教わったような「山から田畑へ降りてくるアクセスルート」
ドンピシャで合致していたため、これだけの捕獲数が伸びたのだと感じています。

■ これから捕獲数はどう変化する?(秋〜冬の予想)

「これだけ獲ったら、もう山にはいなくなるのでは?」と思われるかもしれません。
夏場の捕獲で地域のローカルな群れに大きな打撃を与えたのは確かですが、
イノシシは隣接する山から空いた縄張りへ入ってくるため、完全にゼロになるわけではありません。

ただし、10月以降、現在のポイントでの捕獲ペースは一度ガクッと落ちる(落ち着く)と予想しています。

その理由は「山のドングリ(シイ・カシの実)」です。

10月に入って山でドングリが本格的に落ち始めると、イノシシの行動域が一気に山の上部や深山へと
シフトします。田んぼの稲刈りが終わり、山の上に大好物のドングリが大量に供給されれば、
わざわざ危険を冒してまで集落近くへ降りてくる必要がなくなるからです。

そのため、10月中旬〜11月にかけては一時的に現在の中腹ルートから足跡が消える「罠の休止期」に入ると見込んでいます。

■ 今後の戦略とひとりごと

10月〜11月のドングリ期に入ったら、見切り(足跡探し)のポイントを「山の尾根筋」や「シイ・カシの大木がある上部エリア」へ少し標高を上げてシフトしていく予定です。

そして12月以降、寒さが本格化してドングリが減り、さらに収穫期を迎える我が家のみかんや地域の柑橘類を狙って再び中腹〜山裾へ降りてくるタイミングで、再び現在のポイントが活きてくると考えています。

目標の25頭は達成できましたが、山と集落が隣り合わせのこの町で、
果樹園を守り、地域の農地を守るための知恵比べはこれからも続きます。

先輩猟師の教えや季節ごとのイノシシの動きをしっかり読みながら、
秋のみかん収穫と防除(捕獲)を両立して頑張っていきます!

(みかんの作業の合間に、山道の足跡チェックも怠らないようにしなければ!)

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。