果樹園主の日常】のんびりのはずが激動の一日に!?柑橘・酒米・イノシシと格闘した怒涛の1日

2026年9月18日(金)

明日からの秋の大型連休を控え、妻と子どもは連休前のひと踏ん張りと、
仕事や学校へ意気揚々と出かけていきました。

果樹園主の私に連休は関係ありませんが、
「今日はなんとなくゆったりとした一日になりそうだな」なんて予感とともに爽やかに目覚めた朝。
……しかし、このあとに予想外の超ハードな展開が待っているとは、
この時の私は知る由もありませんでした(笑)。

少し長くなりますが、地域と自然の中で生きる果樹園主の一日に、
どうぞお付き合いください!

AM 6:00 | 朝イチの罠見回り

いつものように罠の見回りからスタートです。
ところどころ餌が食べられているものの、最近のイノシシたちは専ら田んぼを目指している様子。
このあたりは目立った動きがなさそうです。

AM 7:00 | みかん山で果実分析&雨の予感

どんよりとした曇り空の下、みかん山へ。 「雨が降るのかな……」と
思いつつ見回りをしていると、近頃の雨でぐんぐん伸びた雑草が目に入ります。
「そろそろ草刈りもしなきゃ」と少々憂鬱になりながらも、
朝のメインイベント「果実分析用のサンプル採取」を進めます。

JAでは定期的にデコポンなどの糖度や酸度を分析してくれます。
収穫までに最高の状態へ仕上げるため、この傾向把握がとても重要なんです。

ちなみに本日の分析結果は【糖度 7.8 / 酸度 2.09】。 低糖・低酸傾向ですが、酸度は順調!
今後は水分のコントロール(潅水量を減らす)をして、
じっくり糖度を高めていく作戦を立てます。

AM 8:30 | JAでの営業活動?

採れたての果実を携えて、最寄りのJA津奈木基幹支所へ。
分析用果実の提出に加え、今日はもうひとつ大切な用事がありました。

お世話になっている購買担当のIさんへ、「狩猟」の営業活動です(笑)。
狩猟3年目となり、空気銃も所持して活動の幅が広がる中、
「みかん山周辺だけでなく、もっと地域に貢献したい」という思いが強くなっていました。
今年は特に鳥獣被害(イノシシ)が深刻です。

「Iさん、もし組合員さんや地域の方でイノシシ被害に困っている方がいたら、
いつでも捕獲に向かうとお伝えください!」と熱意を託してきました。

AM 9:00 | メインイベント直前、緊急入電!

今日のメインイベントは「津奈木酒米研究会現地視察」
集合場所の亀萬酒造さんに向かい、皆さんと合流……したその瞬間!
スマホのLINE電話がピコピコと鳴り響きます。

農家仲間「推定100kg級のイノシシが罠にかかった!危険な大きさだから応援してほしい!」

これから視察研修ですが、危険が及ぶとなれば放置できません。
視察関係者の皆様に事情を説明してご了承いただき、現場へ急行しました!

AM 9:30 | 100kg級の大物との対峙

現場に到着すると、地元の方々が見守る中、箱罠の中で巨体の雄イノシシが大暴れしていました。
猛烈なパワーで一部の固定ネジが破損しており、一刻を争う危険な状態です。

周囲の安全をしっかり確認した上で、相棒の空気銃を構えます。 1発、5発、10発、15発――。
命中しているものの、分厚い脂肪と頑丈な骨格に阻まれ、致命傷に至りません。

流石に15発の発砲で動きが弱まったところを、くくり罠で慎重に保定し、
最後はヤリで止め刺しを行いました。ハンターとしての課題と未熟さを痛感しつつも、
まずはケガ人も出ず無事に安全を確保できたことにホッと胸を撫で下ろしました。

AM 11:00 | 「肥後の水とみどりの愛護賞」受賞と酒米の学び

無事に処理を終え、急いで「津奈木酒米研究会現地視察」へ合流!

実はこの津奈木酒米研究会、この度誇らしいことに「肥後の水とみどりの愛護賞」を受賞いたしました!
耕作放棄地の有効活用と、自然環境・地域経済の再生が一体となった取り組みが高く評価されたのです。

1年生の私は直接貢献できたわけではありませんが、先輩方の長年の努力が実を結び、胸が熱くなりました。

視察の最後は、私が管理する圃場(田んぼ)へ。 先輩方の圃場では「過去一番の出来!」と喜びの声が上がる中、私の圃場には出穂時期から謎の生育不良が発生していました。
普及所の技術員さんが確認してくれたところ……

「この部分、周りより高くて水が回っていませんね!原因は代かき(しろかき)不足です!」

今年は初めての米作りで作業に追われ、代かきを1回だけで済ませてしまっていたのです。
土作りの手間ひとつで、これほど生育が変わるとは……農業の奥深さを実感します。

先輩方から「何事も経験!1年目から上手くいかれたら私らの立場がないわ(笑)」と温かい励ましをいただき、学びの多い視察研修が終了しました。

PM 0:00 | 再びヘルプ要請!

「ほっと一息」……間もなく、またもや農家仲間からSOS。
「仕留めたイノシシが大きすぎて、一人じゃ処理しきれない!」

あの超重量級です。無理もありません。「了解!すぐ行く!」と現場へ向かい、
二人で処理を行いました。

PM 3:00 | 朝の「営業」が即日実を結ぶ!?

雨が降り出す中、自宅に帰り道具を片付けて「ふう」と一息ついた瞬間、着信音が鳴ります。
今朝JAでお願いをしたIさんからでした!

「早速、イノシシの捕獲をお願いしたいという農家さんがいるんだけど行ける?電柵に引っかかったイノシシもいるみたい!」

朝の営業がまさか当日に実を結ぶとは!「すぐ行きます!」と即・出動です。

現地に到着し、まずは電柵周辺の状況を確認して捕獲対応。
その後、農家さんから「畑やハウスが荒らされて困っている」とお聞きし、
慎重に痕跡を見極めて2か所へ「くくり罠」を設置しました。

「助かるわー。かかるのが楽しみやね」と言っていただき、
プレッシャーを感じつつも「絶対に守りたい」と気が引き締まりました。

PM 5:00 | 濡れねずみのアドレナリン全開作業!

降り続く雨で服はびしょ濡れですが、ここまで来るとアドレナリンが全開です!

午前の酒米視察で「隣接する耕作放棄地からイノシシが侵入するため、電柵を30mほど延ばしたほうがいい」とアドバイスを受けたことを思い出し、「この勢いでやってしまおう!」と現場へ直行。

耕作放棄地の草刈りからスタートし、障害物を撤去してスペースを確保。
杭を打ち、電線を張り、電流の導通を確認!

すっかり日も暮れた頃、怒涛の一日がようやく終了しました。

帰宅すると、びしょ濡れで帰ってきた私を見て子どもが大喜び(笑)。
一緒にお風呂に入り、温かい湯船に浸かって、本当の「一息」をつくことができました。

【今期のアクティビティ報告】
「農家ハンター」として、9月17日・18日と2日連続での捕獲に成功しました!
これにより、今シーズンの累計捕獲数はついに【 37頭 】を達成!

自然と背中合わせの農業も、地域を守る狩猟も、
大変なことばかりですがそれ以上にやりがいとドラマに満ちています。
皆さんも、ぜひ自然の恵みと地域の営みに目を向けてみてくださいね。
本日も一日、お疲れ様でした!

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。