【前年の2.6倍の試練】発芽率ダウンの大ピンチ!?1,600粒の「一寸ソラマメ」定植と起死回生の決断

2026年10月25日(日)

無事に今年のソラマメの定植作業が完了しました……!

……と、爽やかに報告したいところなのですが、実は今年は「大苦戦」のスタートとなりました。

話は遡ること10日前。多忙な秋の農繁期のなかで行った「一寸ソラマメ」の播種(ポット苗づくり)作業に原因がありました。

🔗 前回の記事はこちら 【前年の2.6倍!】多忙な秋の農繁期と、1,600粒の「一寸ソラマメ」播種作業!https://www.kato-orchard-52.blog/261014-2/

花芽分化を促すために「低温処理」を行った1,600粒の種子を7.5cmポットにまき、土が乾かないよう小まめに水やりをしながら大切に育苗してきたのですが……。

本圃への定植日が近づくにつれ、強烈な不安が襲いかかります。

「発芽状況が……最悪だ……!!」

昨年と比べても明らかに発芽が悪く、芽が出ているものも揃いがバラバラ。中には芽が焼けてしまっているものも多数見られました。

衝撃の数値:不良苗率は「20.5%」…大打撃からのリカバリー!

定植を終えた今だからこそ冷静に結果をご報告できますが、準備した1,600ポットのうち、未発芽や発育不良で定植できなかった苗は【328ポット】にものぼりました。

不良苗率は、なんと20.5%(約2割)。

1,600本を植えるつもりで丹精込めて作ってきた圃場(畑)が余ってしまう……。
経営的にもこのままでは大打撃です。

そこで急遽、生産者仲間からあらかじめ準備されていた「予備の種(低温処理済み)」を
400粒譲り受けることができました!

災い転じて「直播(じかまき)」試験栽培へ!

実は「来年はポット苗ではなく、畑に直接種をまく『直播栽培』も試してみようか」と
検討していたところでした。

怪我の功名(不幸中の幸い?)と言いますか、
急遽「3筆ある畑のうち1筆を丸ごと直播圃場にする」という試みを実施することに!
図らずも、来年に向けた実証実験がスタートしました。

なぜ発芽しなかったのか?プロとしての原因分析

こうなった以上、原因を徹底的に分析・追求しなければ来年に繋がりません。
ベテラン農家さんや様々な方に相談しましたが、現時点では特定に至っておらず、
いくつかの複合的な要因が考えられています。

考えられる3つの要因

  1. 冷蔵庫処理(催芽・低温処理)の要因
    • 温度不適合:チルド室などで冷えすぎて「冷害」を受けた、あるいは野菜室などで温度が高すぎ(8〜10℃以上)休眠打破が不完全だった。
    • 期間の失敗:長すぎて冷蔵庫内で芽・根が伸びすぎて傷んだ、あるいは短すぎて吸水不足だった。
    • カビの発生:密閉状態での吸水時にカビ・雑菌が繁殖した。
  2. ポット播種・管理段階の要因
    • まき方:黒いすじ(オハグロ)の位置や深さが不適切で、酸素不足や乾燥を引き起こした。
    • 水分過多・不足:ソラマメは大粒で過湿に非常に弱いため、水やりでタネが腐った(または乾燥で幼根が枯れた)。
    • 高温障害:ソラマメの発芽適温は15〜20℃。25℃を超える残暑で発芽障害を起こした。
  3. 種子自体の要因
    • 古い種子による発芽力の低下や、購入・保管時の環境による活力低下。

園主が睨む「一番の有力説」は…

私(園主)の推測では、以下の2点が大きく影響したと考えています。

  • 【冷蔵庫内での伸びすぎ】:使用した冷蔵庫内に弱い明かりがついていたこともあり、
    受け取った時点で芽や根が伸びすぎており、作業時に傷んでしまったこと。
  • 【播種後の高温と乾燥】:まいた後に日中25℃を超える夏日が続き、
    土の乾燥と高温障害が同時に発生してしまったこと。

来年に向け、専用の低温処理用冷蔵庫の導入は必須だと痛感しました。
また、芽・根の出し具合のコントロールも大きな課題です。

ベテラン農家さんに助言を仰いでも「苗づくりは毎年頭を悩ませる難しい課題だ」とのこと。
1年目が比較的うまくいっていただけに、今年は本当に良い勉強になりました!

【実践ノウハウ】当園こだわりのソラマメ定植・3つのポイント

苗づくりと腰痛(笑)に耐えながら、なんとか予定数の定植を完了させました! ここからは、当園が実践している「ソラマメ定植のこだわりポイント」をご紹介します。

① 「L字仕立て」を見越した定植位置(東側に寄せる!)

当園では南北畝を採用し、仕立て方は「L字仕立て」を行っています。

  • 株間:45cm(黒マルチの印字マークを活用)
  • 植える位置:マルチの中央線から手前(東側)に約5cm寄せた場所に植える

💡なぜ東側に寄せるの? ソラマメは「朝日があたる側」に実をつけやすい傾向があります。東側に寄せて植えることで、後から設置する誘引紐の手前で収穫できるようになり、作業効率が劇的にアップするのです!

② 「オハグロ」の向きは中央線と垂直に!

これは苗の定植だけでなく、「直播」の際にも超重要なポイントです。

  • 根や芽が出ている側を畝の中央に向ける。
  • 種の「オハグロ(黒いすじ)」が、マルチの中央線に対して「垂直」になるようにセットして植える(まく)。

これも、後々の「L字仕立て」の誘引作業をスムーズに行うための秘訣です。

③ 深植え厳禁!「浅植え」で病気を防ぐ

覆土の際のポイントは「浅植え」です。

  • 芽と根の境目にある「白い部分」に土を被せないように注意して優しく土をかぶせます。

おわりに

大苦戦から始まった今年のソラマメ栽培ですが、ピンチをチャンスに変えて「直播試験」もスタートし、無事にスタートラインに立つことができました。

ベテランの方でも毎年悩む苗づくり。一年一年が学びの連続ですが、だからこそ農業は面白く、やめられません!

あとは痛む腰を労わりつつ(笑)、無事に大きく育ってくれることを祈るばかりです。 今後の成長の様子や、直播圃場との比較などもブログで報告していきますので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね!

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。