梅雨の晴れ間に「キックオフ」。

2026年6月21日(日)〜22日(月)

世間ではサッカーワールドカップ、
日本代表対チュニジア戦の熱狂に沸いています。

ここ熊本県では、梅雨の合間にようやくの「晴れ」がやってきました。
サッカーの試合と同じくらい、
いや、それ以上に待ちわびていた貴重な晴れ間です。

なぜこれほどまでに、この晴れ間を待ち焦がれていたのか。
その理由は、当園の「甘夏」と「デコポン」への薬剤散布にあります。

なぜ、この「梅雨時期」なのか?

農家にとって、梅雨の散布はまさに神経戦です。
薬剤散布において、樹々の葉が濡れている状態は禁物。
水分で薬が流れてしまい、効果が半減(あるいは台無し)に
なってしまうからです。

では、なぜ雨のリスクを冒してまで、
この時期に撒く必要があるのか。
そこには二つの大きな「敵」の存在があります。

1. 果実の美しさを台無しにする「黒点病」

中晩柑類にとって、この時期の大敵が「黒点病」です。
葉や果実に小さな黒い斑点を作る菌で、
一度ついてしまうと青果としての等級がガタ落ち。
ひどいものは加工用としてしか出荷できなくなります。
この菌は、「多雨」を合図に活発化します。
病原菌(糸状菌)は治療が難しいため、
予防的に封じ込めるのが鉄則。
今、この時期の散布が、冬の収穫を左右するのです。

2. 樹を枯らす「テッポウムシ(ゴマダラカミキリ)」

もう一つの脅威が「ゴマダラカミキリ」です。
6月中旬から成虫が発生し、樹皮に産卵します。
恐ろしいのは、孵化した「幼虫」です。
主幹や太い枝に食い入り、樹の養分と水分の通り道を
寸断して枯死させてしまいます。
樹から脱出する際、まるで「鉄砲で撃ったような穴」を残すことから、
農家の間では「テッポウムシ」の異名で恐れられています。
この時期に対策を打ち、産卵を阻止することが、
樹々を守る防波堤となるのです。

サッカーよりも熱い?「散布の戦い」

さて、そんな極めて重要な今回の散布。
早朝までしとしとと雨が残り、
葉が乾くのをじっと待つ焦れったいスタートとなりました。

結局、作業を開始できたのは、
サッカーの試合がキックオフを迎えるお昼の13:00。
「トホホ」と笑うしかありませんが、
ここからは日没までの完全な集中モードです。
翌22日の早朝、残りの作業を完遂し、
ようやく全行程を終えることができました。

ホースを引張ながらみかん山を登ります。
まさに重労働。 ふと周りを見渡せば、
近隣の農家さんもまた、この貴重な晴れ間を逃すまいと
黙々と作業に打ち込んでいます。その様子を見ていると、
自然と力が湧いてくるものです。
勝手に一体感を感じてしまいます!

ひと仕事終えた今、心地よい疲労感とともにこのブログを綴っています。
あとは、週末に迫る台風がどうか何事もなく過ぎ去ってくれることを願うばかりです。

初日を散布を終えた後、日本代表の「完勝」の結果に安堵しました。
今年の「甘夏」・「デコポン」も厳しい季節を乗り換えて
きっと勝ち切ってくれると思います。

大地と甘夏

KATO果樹園 園主 大学卒業時に将来農業で起業することを決意。 食品会社、JA職員、製薬会社での勤務を経て、 2023年、就農に向けて熊本県芦北地方に移住。 2024年、念願の就農。 現在、甘夏(70a) 、施設デコポン(12a) 、 露地デコポン(20a) 、黄金柑(5a)、 一寸ソラマメ(5a)、お米(30a)の 生産規模で経営。 「ブルーベリー」「にんにく」の生産挑戦のため準備中。

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