2026年7月28日(火)
時刻はPM10:00を少し前を回ったところです。
今日は、なんとも複雑で、胸が締め付けられるような心境で
このブログを綴っています。
本日、PM4:27頃。
熊本県熊本地方を震源とする、最大震度7の大地震が発生しました。
当園が位置する葦北郡津奈木町でも、震度5強という激しい揺れを観測しています。
多くの皆様からご心配や励ましのメッセージをいただき、
本当にありがとうございます。 おかげさまで我が家、
そして当園におきましては、現時点では大きな被害もなく、
ひとまず胸を撫でおろしているところです。
とはいえ、今この瞬間も強い不安の中で避難生活を送られている方々、
悲しみに暮れている方々がたくさんいらっしゃいます。
皆様のもとに、1分でも早く平穏な時間が戻ってくることを願ってやみません。
また、人命救助や復旧作業のため、危険と隣り合わせで懸命に職務にあたってくださっている
関係者の皆様に、心からの感謝と安全をお祈り申し上げます。
どうかこれ以上の余震がなく、被害が拡大しないことを切に祈るばかりです。
当然のことですが、今朝起きた時は、
まさかこんな地震が起こるなんて夢にも思っていませんでした。
雨の気配が全くない晴天が続いていたため、
「しっかり水を吸わせてあげよう」と張り切って園地に向かった、いつもの朝です。
施設デコポンの樹々すべてに水を届けるには、およそ5時間かかります。
そのかたわら、今日の私のメイン作業は甘夏の「摘果(てきか)」でした。
恵みの雨が続いた梅雨時期は順調に肥大していた甘夏ですが
、梅雨明け後の日照りで生育にブレーキがかかっています。
さらに気になったのが、梅雨明け後に散見された「遅れ花」です。
私の経験上、遅れ花は「花数が少ない年」に多い傾向があるのですが、
今年は花数が多く、その後の生理落果でたくさんの果実が落ちたにもかかわらず、
なぜか多く咲いていました。
しかも、その実がそのまま残って(止まって)しまっていたのです。
遅れ花から実った果実は、通常のものより当然小さく、
形が歪んだ奇形果も目立ちます。 これらは商品にならないため、
大半を摘果作業で落としていくのですが……数が多ければ多いほど時間もかかります。
作業を進めながら、「はぁ……面倒だな〜」と思わず心の声が漏れてしまいました。
そんな私の怠慢な思いを知ってか、知らずか。
摘果すべき果実に手を伸ばした、まさにその瞬間でした。
――突然、左手の甲に激痛が走りました。
一瞬で状況を理解しました。「やられた!アシナガバチだ!」
一目散にその場を離れ、走って倉庫へ戻ります。
激痛に耐えながら左手を庇い、大急ぎで取り出したのは……頼れる相棒「ポイズンリムーバー」です。
急いで刺された箇所に当て、毒抜きを試みます。
よく見ると、刺された場所はなんと2箇所。
そりゃあ痛いわけですなぁ……。
しかし、このポイズンリムーバーの威力が凄かった。
数分間しっかり毒を吸い出すと、叫びたいほどの激痛が急速に引いていきました。
患部は少し腫れてしまいましたが、この程度の被害で済んだのは応急処置のおかげです。
綺麗な水で患部を洗って薬を塗り、手当ては完了。
次は「倍返し」の現場復帰です。
奴らの巣を探すと……ありました。
それなりに立派な巣が。 大人げないかもしれませんが、やられっぱなしにはできません。
働きバチが巣に集まったタイミングを見計らい、殺虫剤を噴射!
ノックダウンしたハチたちを確認してから巣を叩き落とし、
しっかりと処理させていただきました。
ハチとの攻防を終え、午前の作業はここまで。
一旦帰宅して患部を冷やしながら昼食をとり、少し体を休めてから、
PM3:00に再びみかん山へ向かいました。
その途中、仕掛けてある「くくり罠」の見回りへ。
お馴染みの「きくりんの果樹園」に仕掛けた罠を確認しに行ったのですが……
ある一箇所で、何やら不穏な気配を感じました。
遠目からでも、明らかに様子がおかしい。
慎重に近づいていくと……そこには巨大な「イノシシのクレーター(暴れた痕)」が
掘り返されていました。
しかし、肝心のイノシシの姿がありません。
「どこかに隠れているのか!?」と警戒しながら、ワイヤーの痕跡を辿って近づくと
―― 地面に残されていたのは、ちぎれたイノシシの蹄(ひづめ)でした。
自らの脚力でワイヤーを強引に引きちぎり、蹄を犠牲にして逃げおおせたのです。
野性の生き物が持つ恐ろしいほどのパワーと執念に、
背筋が寒くなるような恐怖を覚えました。
自然の猛威と生命力に少し気おされながらも、
車に乗り込み、みかん山へ到着。
車を降りた、まさにその時でした。
《ウー! ウー! 緊急地震速報です》
静寂を切り裂いて、スマートフォンから甲高い警報音が鳴り響きました。
私はその場で立ちすくみ、周囲の状況を注視することしかできませんでした。
何とか立っていられるものの、目に入る電信柱や近くの倉庫が、
ガタガタと大きく揺れています。 揺れが収まるのを、
ただ息をのんで待ち続けました。
揺れが治まった後、すぐにスマホで情報確認。
震度5強、そして津波警報の音。 ここは高台にあるため津波の心配はありませんが、
まずは果樹園の主要な設備(水タンクやパイプなど)に致命的な異常がないことを確認。
そして、子どもの安否を確認するため、急いで車を走らせて自宅へと戻りました。
ハチに刺され、野生の猛威に恐怖し、そして大地が揺れる。
今日の出来事は、私に「あたりまえの日常など、どこにもないのだ」ということを
痛いほど教えてくれた気がします。
今朝、いつもと同じようにみかん山へ向かい、
暑さに文句を言いながら農作業をしていた時間。
あの「面倒だな〜」と呟いていた何気ない時間こそが、
平和で、恵まれたものだったか。
今夜は揺れへの警戒もあり、安心して深く眠ることはできそうにありません。
それでも、明日もまた陽が昇り、作物が育ち、いつものように美味しい果実を届けられる
平穏な日々が戻ってくることを信じています。
どうか皆様も、身の安全を一番にお過ごしください。
少しでも早く、九州に穏やかな日々が戻りますように。
本日は長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。