2026年8月3日(月)
熊本でも観測史上初、40℃を超える酷暑日を記録しました。
夕方のニュースでも大きく報じられていましたが、
当園の温度計でも37℃・湿度80%を計測。
日中はさすがに危険を感じ、13時過ぎにはすべての作業を中断しました。
現在、みかんたちは果実肥大期の真っ只中ですが、
あまりの強光線に「日焼け」を起こす果実も散見されています。
今年のみかん生産は、現状かなり厳しい戦いになりそうです。
目次
新米農家の「リアル」を明かす理由
さて、今日は当園の経営状況について少し真面目なお話をしたいと思います。
このような生々しい経営の話を書くべきか正直悩みました。
ですが、このブログを「新規就農を目指している方」も多く見てくださっているようで、
脱サラ新米農家のリアルな一例として何かのお役に立てればと思い、
筆を執ることにしました。
まずは、当園のこれまでの歩みを簡単にご紹介します。
当園の営農規模の推移
- 1年目(令和6年度): 甘夏(60a)で柑橘農家としてスタート。
- 2年目(令和7年度): 甘夏(70a)、施設デコポン(14a)、露地デコポン(20a)、黄金柑(5a)、一寸ソラマメ(5a)へと拡大。
1年目は、記録的な柑橘の不作に加え、新米園主としての技術不足が直撃。
「まさに試練」とも言える散々な出来で、
経営的には当然のごとく大赤字からの船出でした。
柑橘経営の特殊性と「黒字」のからくり
柑橘農家の収入は、基本的に「年に1回」です。
※品種や出荷先によって異なりますが、収穫後に現金化されるのは基本的に年1回という意味合いです。
年末から年始にかけて収穫・出荷を行い、JAの共販を通じて順次販売・回収された代金が、
後日農家に支払われます。
先日、当園でも令和7年度産の出荷代金が概ね確定し、
今期の決算状況が見えてきました。
結論から申し上げますと—— 単年度での「黒字化」をほぼ達成いたしました!
脱サラして飛び込んだ新米農家としては、
心からホッと胸を撫でおろしているところです。
「事業の黒字」と「家計の黒字」の違い
しかし、ここで注意が必要なのが個人事業主(農家)の決算です。
一般企業であれば「黒字=合格点」ですが、個人事業主の場合、
確定申告上の決算に自分の給料(生活費)は含まれていません。
つまり、「事業は黒字でも、家計(生活)は赤字」という事態が
往々にして起こるのです。
その点も含めて改めて見つめ直した結果…… 有難いことに、
本年は「家計ベースでの黒字」もほぼ確定させることができました。
3年目黒字化に込めた「覚悟」
文字にするとあっけないものですが、農家になる(独立起業する)ということは、
これまで享受してきた安定した生活を捨て、厳しい大海原へ漕ぎ出すことです。
生活とお金に関する不安は、会社員時代には経験したことのない重さでした。
ですが、「2年目で成果が出たからもう大丈夫」なんてことは1ミリも思えません。
今回の成果はあくまで単年度の数字に過ぎず、
1年目の赤字、開業費の回収、設備投資の借入返済などを考えれば、
まだまだ道半ばです。
当園のデッドライン 実は就農時、「3年目までに家計ベースでの単年黒字を達成できなければ、農家としての道を断念することも視野に入れる」と決めていました。
長年追い続けた農家という生き方ですから、「絶対に軌道に乗せる」という強い覚悟はありました。
しかし、家族の生活を守る現実的な視点に立てば、甘えは許されません。
もし達成できなければ、以下の原因を冷静に受け止める覚悟でした。
- 農家として標準的な品質・収量が生産できていない
- 経営者としての資質に問題がある
- 家庭の消費行動(生活コスト)に問題がある
次のステップと、これから就農を目指す方へ
市町村から認定を受ける「認定新規就農者」の期間は、就農から5年間です。
折り返し地点を迎える当園の次の目標は、以下の通りです。
- 経営基盤のさらなる安定化と、初期投資(借入)の計画的回収
- 気候変動に負けない「高品質・安定生産」の技術確立
- 地域農業への貢献と、支援してくださった方々への恩返し
単年黒字を達成できたとはいえ、新規就農を取り巻く環境は決して甘くありません。
資材や燃油の高騰、そして近年の異常気象。
自身の自負や努力はもちろんですが、それ以上に「天候や人に恵まれた幸運」があったからこそ、
今こうして農業を続けられているのだと痛感しています。
新たに就農し、事業を軌道に乗せるのは本当に険しい道のりです。
農業に関わる多くの方々がおっしゃるように、農業は決して甘い世界ではありません。
しかし、しっかりと計画を練り、リスクと正面から向き合えば、確実に道は拓けると信じています。
なぜなら、私の周りにはどれほど厳しい局面があっても、立派に農地を守り抜き、
毎年毎年苦労を重ねながら素晴らしい柑橘を生産し続け、
ご家族や地域を守ってきた先輩農家さんが大勢いるからです。
私は「再現性」という言葉が好きです。 先人たちが積み重ねてきた技術と知恵を学び、
現代の経営視点と計画性をもって愚直に実践していけば、農業はきっと再現できる。
その証明をしていきたいと思っています。
最後になりますが、これまで温かく支援してくださったすべての皆様に、
心より感謝申し上げます。
次は経営をより強固にするためのロードマップを着実に遂行してまいります!
