2026年8月4日(火)
連日、絶賛「摘果(てきか)作業」に追われています。
先週、令和8年熊本地震が発生したあの日も、
私はいつも通り園地で摘果をしていました。
そしてまさにその日……甘夏の樹の中にあったアシナガバチの巣に気づかず接触してしまい、
襲撃を受けるというアクシデントが発生!
手の甲がパンパンに腫れ上がり熱も出ましたが、ようやく腫れも引き、
万全の状態で作業に臨めるようになりました。
(本当に健康のありがたみを実感します…)。
現在みかん山の約7割の摘果作業が完了したところです!
しかし、樹々や果実の様子を観察しながら作業を進める中で、
今年どうしても無視できない“ある異常”が園内で顕著に出ていました。
その元凶の名は……「チュウゴクアミガサハゴロモ」です。
噂の外来生物「チュウゴクアミガサハゴロモ」とは?
昨年ニュースや農業新聞等でも話題になっている、
中国大陸原産のカメムシ目ハゴロモ科の害虫です。
近年、日本国内の広い地域で急速に生息域を広げており、
果樹や庭木など様々な樹木に寄生することが確認されています。
- 成虫: 全長1cmほど。鉄サビ色(暗褐色〜紫褐色)の羽を持っています。⇒見た目は「蛾」ですね。
- 幼虫: 体から白い綿状(ろう物質)の分泌物を纏っており、枝に白い塊がついているように見えます。
柑橘への主な被害
- すす病の誘発(直接・間接被害) 成虫や幼虫が樹液を吸汁し、その排泄物(甘露)にカビが発生して「すす病」を引き起こします。葉や果実が黒く覆われると光合成が阻害され、果実の見た目(秀品率)が著しく低下してしまいます。
- 枝の枯死や翌年以降への影響 大量発生による吸汁で樹勢が衰弱します。さらに深刻なのが、新梢や小枝の皮層(組織内)に裂け目を入れて産卵する点です。産卵された枝は風で折れやすくなったり、
先端から乾燥して枯死したりします。
防除はしっかり行ったはずなのに…写真で見る現場の被害状況
通常、柑橘農家が取るべき基本対策は以下の3点です。
- 幼虫期の早期発見と物理的除去(初夏に白い綿状の幼虫を見つけたら潰す・剪定する)
- 整枝・剪定による風通しの改善(日陰や湿気を好むため、採光と風通しを確保)
- 適期での薬剤散布(幼虫が発生する6月頃、周辺の雑草も含めて効果的な薬剤を散布)
当園でも、今年は冬の剪定をしっかり行い、5月〜6月の適期にカメムシ類や
ハゴロモ類を対象とした薬剤散布もバッチリ行いました。
「これで大丈夫だろう」
そう思っていたのですが……実際に摘果で枝を一本一本見ていくと、
想定以上の被害が出ていることに気づきました。


写真を見ていただくと分かる通り、枝の表面がタテに裂け、
樹皮が削り取られたようになっています。これがハゴロモ類などの産卵痕やダメージです。
さらに、その傷口から先(先端)の新梢や小枝が茶色く乾燥し、枯れてしまっている部分が散見されます。
なぜ防除したのに枝が枯れたのか?
防除もしっかり行っていたのになぜこれほどの被害が出たのか?
理由と複合要因を整理してみました。
推測1:今年特有の「トリプルパンチ」による樹勢低下
- 5月: カメムシの飛来・発生
- 6月: チュウゴクアミガサハゴロモ、アオバハゴロモの幼虫発生
- 春先〜: 今年の花数の多さ(裏年・表年の影響や裏成りによる負担)
今年は春の花数が非常に多く、摘果前の段階で樹自体が相当なエネルギーを使って
「体力(樹勢)」を消耗していました。そこへカメムシやハゴロモ類の連続攻撃が重なったため、
普段なら耐えられる程度の産卵ダメージでも、枝が耐えきれずに枯れ込んでしまった
(キャパオーバーを起こした)可能性を考えています。
推測2:チュウゴクアミガサハゴロモの生息生態と薬剤の届きにくさ
チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫は、体を覆う「白い綿状のろう物質」が
薬剤を弾きやすい傾向があります。
今回の件で、「単に時期に合わせて薬を撒くだけでは防ぎきれない外来害虫の難しさ」を
痛感します。
自然相手の作業は、地震やハチの襲撃、そして新たな外来害虫の出現など、
一筋縄ではいかないことばかりですね。
ですが、こうして毎年違う環境・条件に向き合い、
原因を突き止めて対策を打っていくことこそがまさに農家の腕です!
残り3割の摘果作業も、樹の SOS を見逃さないよう観察しながら頑張ります!
